石井漠記念賞

【趣旨】

昨年開催された『踊る。秋田2016』では国内のダンススカンパニーだけでなく、アメリカ、台湾、韓国などからも複数のダンスカンパニーが参加し、ダンスによる文化交流が促進されたのですが、その過程で私たちが驚かされたのは、台湾や韓国における石井漠師の存在の大きさでした。特に韓国においては石井漠師が占領下の朝鮮で初めて公演を行った日が同国の「モダンダンス元年」とされているうえ、現在でも石井漠研究が盛んで、それは先行世代のみならず若いダンサー達にも大きな影響を与え続けています。こうした文化遺産を継承し、さらに発展させていくために、私たちは本年度開催予定の『踊る。秋田2017』を第一回として「石井漠記念賞」を制定し、世界で活躍する優れたダンサー、カンパニーに授与することとします。

【授与対象】

国内外を問わず、選定時点で現役で活動しているダンサー、およびダンスカンパニー。

【選考基準】

石井漠師の舞踊理念である「内に表現したいものがあり、それを肉体とリズムで表現したとき、はじめて舞踊となり芸術となる」。また、「舞踊は常にポエムでなくてはならない」ということを体現する作品を発表し、ダンス界に残しているその功績が大であると認められるダンサー、およびカンパニーであること。

審査委員長 石井 登(石井漠記念創作舞踊団団長)
審査委員 山川三太『踊る。秋田』フェスティバル・ディレクター
川村 泉(『踊る。秋田』プログラム・ディレクター)

【賞、および副賞】

授賞者には『踊る。秋田』実行委員会からの賞状と記念品(秋田在住の陶芸作家・田村一氏の作品)、秋田市で「授賞記念公演」を行う権利とその出演料が与えられる。

【賞状授与者】

審査委員長 石井登先生

【第1回石井漠記念賞授賞者】

勅使川原三郎、佐東利穂子

【授賞理由】

勅使川原三郎と佐東利穂子の両氏は、自らのスタジオであるカラスアパラタスで2013年より継続的に展開している「アップデイトダンス」シリーズにおいて不断の志でダンスを探求し、その奥深さと無限の可能性を開示して見せた。その功績を讃え、ここに第一回石井漠記念賞を授与する。

【授賞者プロフィール】

勅使川原三郎
勅使川原三郎

クラシックバレエを学んだ後、1981年より独自の創作活動を開始。1985年、宮田佳と共にKARASを結成し、既存のダンスの枠組みではとらえられない新しい表現を追及。類まれな造形感覚を持って舞台美術、照明デザイン、衣装、音楽構成も自ら手掛ける。光・音・空気・身体によって空間を質的に変化させ創造される、かつてない独創的な舞台作品は、ダンス界にとどまらず、あらゆるアートシーンに衝撃を与えるとともに高く評価され、国内のみならず欧米他、諸外国の主要なフェスティバルおよび劇場の招きにより多数の公演を行う。2006年度から2013年度は立教大学現代心理学部映像身体学科において、また2014年度からは、多摩美術大学美術学部演劇舞踊デザイン学科の教授として教育現場における新世代との創造活動にも熱い意欲を注いでいる。

1986年「風の尖端」でバニョレ国際振付コンクール準優勝及び特別賞受賞
1988年 日本舞踏批評家協会賞受賞
2002年 朝日舞台芸術賞受賞
2006年「ガラスノ牙」で同年の芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。
2009年 紫綬褒章受章

佐東利穂子
佐東利穂子

1995年からKARASワークショップに参加。1996年より勅使川原三郎振付の全グループ作品に出演。勅使川原作品のソリストとして国際的に活躍し、各国で熱狂的な反応を巻き起こしている。
「横浜トリエンナーレ2008」では、ガラスの破片の敷き詰められたインスタレーションの中で5時間ぶっ通しのパフォーマンスを敢行。刃物のような鋭利さから、空間に溶け入るような感覚まで、質感を自在に変化させる佐東のダンスは、身体空間の新たな次元を切り開く芸術表現として注目を集めている。

2005年ローマ初演の「Scream and Whisper」で仏・伊のダンス雑誌「Ballet2000」の2005年度年間最優秀ダンサー賞、『消息』で、2007年度日本ダンスフォーラム賞、2012年には第40回レオニード・マシーン賞を受賞。